葛飾北斎『潮来絶句集』と服部南郭
今年生誕260年を迎えた天才浮世絵師・葛飾北斎に『潮来絶句集』というすばらしい狂歌絵本――厳密にいえば狂詩絵本があります。狂歌師・富士唐麿がわが国の潮来節を漢詩に翻訳し、それに北斎が挿絵を添えた、情緒纏綿たる傑作絵本です。かつて迷著『北斎と葛飾派』(日本の美術367)に私見を書きましたし、「饒舌館長」にもアップしたことがあるように思いますが、改めて一例をお示ししましょう。
しんくみだしてけさゆふたかみを ぬしのそひねでみだれがみ
これがもともとも潮来節ですが、富士唐麿はこれを次のような漢詩に翻訳したのです。じつに愉快じゃ~ありませんか。結句の「雲鬢」は「雲鬟」の彫り間違いのようですが……。
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