2015年、石守謙さんは三聯書店から出版された『移動的桃花源 東亜世界中的山水画』に、「桃花源意象的形塑与在東亜的伝佈」という論文を発表されました。すごい論文だということを板倉聖哲さんから聞いた國華編輯委員会は、これを翻訳して登載させていただくことにし、大和文華館の都甲さやかさんにそれをお願いしました。
翻訳が上がってくるとすぐに拝読し、はじめて扇面画の大きな展開を知ることができました。それだけではありません。世界が偏狭な愛国主義へ向おうとする現在、多くの人が読むべき示唆的文化論であると、感を深くいたしました。まず「はじめに」の一部を引用して、論文の概要と石守謙さんの視点を理解することにしましょう。ここでいう「摺扇」とは、折り畳むことができる扇の意味で、日本語でいえば「扇」「扇子」「扇面」のことです。
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