ひらがな刻んだ平安の土器
8月26日の朝日新聞に、「ひらがな刻んだ平安の土器」という見出しで、山梨県甲州市塩山下於曽にあり、平安時代と推定されている「ケカチ遺跡」の居館跡から、和歌を刻んだ10世紀半ばの土器が見つかったというニュースが載りました。日本文化史上のビッグニュースです!!
土器を調べた山梨県立博物館館長・平河南さんの、「中央から地方へのひらがなの伝播を知る上できわめて重要だ」という談話も添えられています。さすが地方美術館の館長さんです。
それは甲斐型土器と呼ばれる素焼きの土師器の皿で、直径は約12センチだそうです。その内面に、一文字の欠損部分を含め、31文字が5行にわたって刻まれているとあり、カラー写真でもかなりはっきりと読むことができます。平川さんによると、ひらがなが成立したとされる『土佐日記』(935年ごろ)に近い時期の一等資料です。
新聞に添えられた釈文は、「われによりおもひくゝらむしけいとのあはすや<み>なはふくるはかりそ」となっています。<み>は欠損部分のため推定したものであり、<ゝ>は<る>かもしれないとあります。この和歌は、『万葉集』などにないオリジナルの和歌だそうです。
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