兵器ホールの「僕の一点」は15本ほど展示されていた日本刀です。それを木製の段々式陳列具にハシゴのごとく掛けて展示してあったからです。日本では、必ず白い布で刀掛けを覆い、一振りずつ展示します。もちろん先の「超日本刀入門」でもそうしましたが、僕たちは日本刀に何かほかの工芸品とは異なる霊的心象をもっているからではないでしょうか。
しかし日本刀が武器の一種であることは紛れもなき事実であって、「武器ホール」に陳列するとすれば、これ以外の方法はあり得ないでしょう。ハシゴ状に並べることによって、他国の刀剣と客観的に比較する途が開けるからです。
こんなことを思いながら中国刀剣のコーナーに行くと、結構「反り」のあるものが陳列されています。平安時代に入って、直刀であった日本刀に反りが生まれるのは、戦法の変化と美意識によるものだと思ってきたので、「超日本刀入門」の館長挨拶にもそう書きました。しかし、時差に注意しながら、中国刀の影響も考えることが必要じゃないかなぁと反省しつつ、山田さんと待ち合わせの出口のところへ向かいました。
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